The Tale of Genji 源氏物語の英訳を読んで

051

ドナルド・キーン氏の日本国籍取得のニュースを聞いたあとで、彼が日本文学に興味を持つきっかけとなったというアーサー・ウェーリー訳の源氏物語を購入してみました。

とても厚い本で1100ページ以上あります。

源氏物語の長さを考えると「厚い本」とは言えないのかもしれませんけど。

【送料無料】The tale of Genji [ 紫式部 ]

実際に読み始めると、単語は難しいものではありませんが、英語の古文など正式に学習したことはないので考えながら読むという状態になっています。

源氏物語の有名な部分というと、最初の「いづれのおほん時にか、 女御更衣あまた侍ひ給ひけるなかに、いとやむごとなききはにはあらぬが、すぐれて 時めき給ふありけり」になります。

この部分を引用すると“At the Court am Emperor (he lived it matters not when) there was among the many gentlewomen of the Wardrobe and Chamber one, who though she was not of very high rank was favored far beyond all the rest”となっています。

最初の最初、「いづれのおほん時にか」の部分はカッコ内に入れられて (he lived it matters not when) となっているのは、いろいろと考えた結果なのでしょうね。

普通の英語ならばこの部分は It does not matter when he live. となります。

そして Wardrobe は「更衣」のことだとは分かりますが Chamber についてはちょっと考えてしまいました。

Chamber は「女御」と表現したいのか、でも Chamber は文字通りに訳せば「中宮」となるんじゃないかって。

でも、「中宮」というのはやがて皇后、つまり Empress になる人で1人しかいないわけですよね。

また、「女御」は court lady と訳している辞書が多いようです。

後宮におけるポジションも、時代によって変わっていったこともあり、それならば分かりやすいのはどういった表現になるのでしょうか。

Wardrobe や Chamber といった単語で読む側がすぐに理解してくれるのでしょうか。

日本文化を英訳するときは英語圏にはないものをどう英語で表現すればいいのか困ることがよくあります。

読む側がどの程度の知識を持っているのか、そして分かりやすさと正確さのバランスをどうするかは悩むところです。

関連記事

ページ上部へ戻る