「イングリッシュ・モンスターの最強英語術」のレビュー、評価
引きこもりの間に独学で英語を勉強して、初めて受けたTOEICのスコアが970。こんな背景を持つ菊池健彦さんによる「イングリッシュ・モンスターの最強英語術」が話題となっています。
本の内容は菊地さんの体験による英語学習方法で成り立っています。35歳の時に仕事をやめてその後7年間コツコツと英語を独習してきた体験を「引きこもり留学」と名づけて紹介しています。
菊池健彦さんはこの本の中で単語と読みと聞きとり、つまりボキャブラリーとリーディングとリスニングを英語学習の3本柱と位置付けています。
その中でも特に中心となるのはリーディング(読むこと)で、使った教材はニューズウィーク、タイム、エコノミスト、U.S.ニューズなど。
覚えては忘れ、覚えては忘れという方法は外国語学習の王道。読み続けるうちに英語のボキャブラリーは増え、速読が出来るようになります。
TOEICを受ける人たちの中には、「時間が足りない」と嘆く人たちも多いのですが、菊池さんの学習法では結果としてリーディングの速さもアップします。
勉強を続けるコツは自分の好きな分野の英語を読むことですが、TOEIC対策として菊池健彦さんが勧めるのは日経ウィークリー。日経新聞社が出している週刊の英字新聞です。
リーディングだけでなく、リスニングも基本は同じ。コツコツと繰り返し聴き続けるというものです。菊池健彦さんはコメディを教材に、繰り返し繰り返し聴き続けてビデオデッキも毎年壊れるということになりました。
日本語にはない音、特に母音の聞き取りは苦労しますが、菊池さんは自己流の方法で工夫してリスニング能力もアップしていきました。「梅干しのア」「般若のア」など、分かりやすく英語の音を再現する写真にはちょっとびっくり、そして笑ってしまいます。
英語には日本人の苦手なLとR、thの音などの難関が待ち受けていますが、菊池さんはカップめんの容器を使って発音練習装置を自作、これでリピーティングやシャドウイングをしたとか。
文法については、「習うより慣れろ」方式。特に文法の勉強をするよりも、英語に触れる時間を持つうちに段々と分かってきます。
英語に限らず外国語の学習というのは毎日コツコツと勉強しても上達を実感することがなく、そのため途中でギブアップする人が多いのですが、でも、自分で気が付いていないだけで、英語力は蓄積されています。そして、ある日、自分のレベルアップを実感します。ダイエットにたとえて地道な努力の大切さを説いているのは、説得力ありました。
ただ、菊池健彦さんの場合はちょっと特殊かもしれません。
1日の食費500円、そして1日に8時間~16時間も勉強するというまるで仙人か修行僧のような生活を7年間続けてきたのですから。でも、こういった浮世離れした部分が「イングリッシュ・モンスターの最強英語術」を英語学習者でなくとも楽しめる読み物としています。